会場: すみだ産業会館9階・ROOM4
9月10日(土)
「清野工房の素材×道具×作品。
清野新之助の”好きに作ればいいんだよ”
が広がっていく」
清野工房 清野 詳子
聞き手:本出ますみ
昭和20年代、戦後すぐから始まった清野新之助の仕事は、編み毛糸でマフラーを織る仕事からでした。 その姿勢は素材は問わず、作りたい物に合わせて道具を作り、思考錯誤しながら技法が確立されていくという興味と好奇心から形になっていくという作品作りでした。 今回はスピナッツの本出さんが聞き手として登場。するどいつっこみで、新之助先生の人柄と、物作りの考え方を浮き彫りにしてゆきます。そして去年2015年1月に亡くなるまでの、 清野工房の70年の仕事を紹介いたします。
http://seinokoubou.net/
プロフィール:女子美短大造形科を卒業後、清野工房に入り清野新之助に師事する。 その後工房展、個展を開催しつつ現在に至り、清野工房教室で指導にあたっている。
「目からウロコの羊毛染」
~従来の染め方や助剤の使い方を見直そう~
高橋 誠一郎
○工業的染色処方は手工芸染色には不適 →機械染処方を手染め処方に
○正しい染め方は一つではない →目的・条件で最適処方は変わる
○羊毛を濡らして染めると染ムラになる →浸透剤、再湿潤性
○たっぷりの水で染めると染ムラになる →羊毛の特性
○徐々に昇温すると染ムラになる →温度ムラ
○100℃、浴比1:5で染められる →道具の工夫
○85℃でも堅牢に染められる。 →低温染色助剤
○急加熱、急冷してもフェルト化しない →動く+水+アルカリ・酸・活性剤
○染色後、流水で急冷できる →羊毛が動かない流水
○塩素処理すると媒染剤の吸収が良くなる →スケールの改質
○鉄、銅も先媒染が基本 →適切な安定剤
○植物染料の抽出に関するいくつかの目からウロコなこと
プロフィール:工芸染色に適した染色技術の開発と染料、助剤等の商品開発を行う。1990年頃までは和装関係の染工場向けの開発が主であったが、以降は趣味、学校教育、幼児、障害者向けの開発や町おこし、地域資源開発の指導が主となっている。
現(株)田中直染料店 研究開発顧問/元(株)京都草木染研究所 取締役所長/元(株) 田中直染料店 取締役研究開発部長/元京都精華大学 非常勤講師/元沖縄県立芸術大学 非常勤講師
「蟻川工房の仕事」
蟻川工房 蟻川 喜久子
聞き手:LLPまちの編集室
受け継いだ民藝の精神と「羊毛の本質を活かす」ホームスパンの仕事
プロフィール:1940年生まれ。1966年に蟻川紘直氏と結婚後、仕事を習いながら手伝うようになる。98年に紘直氏が他界されてから、そのまま蟻川工房を引き継ぎました。
2010年に工房を伊藤聖子さんに引き渡して工房の仕事から退きました。
2015年まで地元の新聞社のカルチャースクールの講師。
写真提供:LLPまちの編集室
「モノを創るというコト」
内山 礼子
私のフェルト創りについて。素材との出会い~モンゴルとスイスの羊飼いに会ったお話。
http://www.leikofelt.com/index.html
プロフィール:帯広畜産大学で羊の繁殖を専攻し、ニュージーランドの羊牧場で1年間実習中、初めてフェルトを知る。 東京の大塚テキスタイルスクールを経て、92年ジョリージョンソン氏に出会い、94年よりフェルト制作を始める。 手仕事としてのフェルトが現代の生活をどこまで担え、豊かにできるのか。生活の中のフェルトを中心に材料、その用途など、探求を続ける。 欧州を中心に世界各地で講習会の傍ら、制作している。近年、モンゴル、スイスなど、羊を中心とした調査の旅も開始。
「スライドショー
スコットランドの毛織物 昔から今」
手織工房タリフ 明石 恵子
消滅の道から再生を果たした小さな織物工場の軌跡を動画で紹介。合わせて、産業として発展したスコットランドの毛織物と世界に誇るタータンチェックの文化を、織り手(weaver)の視点から解説致します。
http://handweaver-turriff.com
英国に語学留学中、1975年夏出会った英国の手織りに魅了され、後に再渡英、デイビット・ガーニーから服地の織りを学ぶ。子育ての後織りを再開、作品展 示会やスコットランドでの手織り講習会の企画を経て2004年から手織工房タリフを運営。2006年からスコットランド直輸入の毛糸の販売を始める。 2015年9月誠文堂新光社より「手織りのためのスコットランドチェック」を出版する。