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レクチャー 2022

    会場: 横浜産業貿易センター B1F B102 号室

    10月1日(土)11:00~12:00

    「モンゴルの伝統フェルトと刺し子 – ラクダの鬣(たてがみ)を紡ぎ
    フェルトに刺し子をする女性たちのストーリー」
    プレブドルジ アリューンダリ (Purevdorj Ariundari ) 

    内容:
    モンゴルの遊牧民は年に何回も移動するので、たくさんのものを持たない生活をしてきました。
    そのため、大きいな道具が必要となる織物の文化はありません。フェルトは羊毛と水さえあればできるので遊牧民には適しています。フェルトはモンゴルの厳しい気候にも合っています。移動の多いタフな遊牧民の生活にはフェルトだけでは丈夫さは足りないのです。

    ラクダの鬣(たてがみ)の硬い糸はとても丈夫で切れることはあまりないです。その毛をゴビ地域の女性たちは昔から手で紡ぎ、その糸でフェルトに刺し子を入れて使ってきました。何十年も使っても破れないタフなフェルトができます。現在は、この糸を作る女性は減っています。
    ゴビ地域のラクダの鬣を紡ぎ、フェルトに刺し子をする女性達について紹介したいと思います。

    プロフィール:
    Purevdorj Ariundari

    • 1982年 モンゴル国ウランバートル市生まれ
    • 2003年 文化教育大学(ウランバートル)日本語科卒業
    • 2003年 文化教育大学(ウランバートル)日本語科卒業
    • 2009年 大阪観光大学国際観光学科卒業
    • 2011年 京都工芸繊維大学大学院先端ファイブロ科学専攻卒業
    • 2011年 [モンゴル羊毛展]京都国際会館にて企画展示
    • 2014年 [空飛ぶ羊]としての活動をはじめる
    • 2016年 [東京スピニングパーティ]初出展 (16/18/19年出展)
    • 2019年 公式webshopスタート
      ※この年より”空飛ぶ羊のアイテムを着こなした素人モデルがランウェイする” オリジナリティあふれるファッションショーを毎年開催しています
    • 2021年 愛知県豊田市に実店舗「KURA」開店

    10月1日(土)13:30~14:30

    「シルクロードの東の果てに、色氈や花氈」
    ジョリー・ジョンソン (Jorie Johnson)

    内容:
    フェルトメーキングの特質: 奈良正倉院の8世紀「花氈」フェルト入門
    ジョリー・ジョンソンは、西ヨーロッパから中国とモンゴルまでの国境を越えてさまざまなフェルトの伝統を旅し、研究してきました。2011年より正倉院奈良事務所に招聘され非常勤研究員として参加。

    このレクチャーでは、正倉院花氈と、ジョリーが調査した伝統的なフェルトラグ作りの技法を比較します。さらに、2020年のレプリカ部分制作中の京都市伏見 JoiRae テキスタイル工房の研究を通じて、このような大きな作品を制作するプロセスを分析します。このレプリカ例は、奈良国立博物館の第72回正倉院宝物展で展示されました。
    草木染めのウールやフェルトモチーフのサンプル、花氈第17号のレプリカ部分、各種出版物、9分間のビデオも紹介します。

    Characteristics of Feltmaking: An Introduction to the 8th CE Kasen Felts of the Nara Shoso-in Repository

    Jorie Johnson has traveled and studied various felt traditions across the roads from Western Europe to Mongolia and China. Since 2011 she has been an invited adjunct researcher for the Shoso-in Office Nara.

    In this introductory lecture she will show a survey of traditional felt rug making techniques and compare them to that of the Shoso-in Kasen. Further, Jorie will break down the process of producing such a large work through her Kyoto JoiRae Textiles studio research during the making of several replica portions in 2020. One example was exhibited at the Nara National Museum during The 72nd Annual Exhibition of the Shoso-in Treasures.

    Vegetable-dyed wool and felt motif samples, a replica portion of Kasen No. 17, various publications, as well as a 9 min. video will be presented during her talk.

    プロフィール:
    「フェルトメイキング・ウール・マジック」本の著者であるジョリー・ジョンソンは、日本のいくつかの美術大学で非常勤講師を務め、世界中でワークショップを開催しています。 2011年から奈良正倉院の動物繊維と花氈フェルト研究会のメンバーです。

    1998年には、「民族藝術(Ethno-Arts Vol.14)」で、正倉院の花氈と比較して、シルクロードを横切る敷物に関する研究について書いています。2018年にイギリスのHALIに12ページの記事を執筆した他多数の著作があります。

    ジョリーの作品は、V&Aロンドン、ボストン美術館、サンフランシスコ美術館deYoung、その他のプライベートパブリックコレクションに含まれています。

    ボストンの羊毛商人の家に生まれ、USAでテキスタイルデザインを学び、手作りフェルトの紹介は1978にフィンランドの大学で始まりました。1989年来日以来、京都にスタジオを維持しています。

    【ホームページ】 https://joirae.com

    10月1日(土)15:30-16:30

    「樹皮と草皮の布が伝えたいこと」
    ひろい のぶこ

    内容:
    日本列島に古来から伝承されてきた樹皮と草皮の繊維素材の織物は、1970 年代には消滅寸前の状態でした。ところが半世紀を経た現在でも、形を変えながら各地で受け継がれてきています。
    暮らしの中で育まれた一連の紡織技術について、その後の人々の生活変化、また伝統文化を支えようとするさまざまな活動の事など、広く知ってもらいたいと思います。
    そして、日本列島に残された世界にも稀な繊維の文化が私たちに何を示そうとしているのか、皆さんと一緒に考えてみたいと願っています。

    プロフィール:
    ひろいのぶこ 略歴
    染織造形作家・染織研究家・京都市立芸術大学名誉教授
    1951年 神戸生まれ。
    1977年 京都市立芸術大学美術学部美術専攻科染織専攻修了
    国立国際日本文化研究センター共同研究員、国立民族学博物館共同研究員、宮内庁正倉院特別調査委員、旅する布研究所


    1974年以降 インド・ネパールをはじめアジアと日本各地の染織文化と、素材や技法との関係について作り手の立場から調査を続けている

    • 1977年 個展(ギャラリー16、京都)以後複数回
    • 1984年 第2回ベータ国際ビエンナーレ(ベルギー)でベータ・グランプリ受賞
    • 1989年 個展(ギャラリーギャラリー、京都)以後複数回
    • 1991年 個展(ギャルリ・プス、東京)以後複数回
    • 1997-8年 文部省在外研究員
      (アメリカ合衆国カンザス州立大学においてテキスタイル教育の調査)
    • 1999年 『織物の原風景-樹皮と草皮の布と機-』(共著、紫紅社)を刊行
    • 2007年 第12回国際タペスリー・トリエンナーレ(染織中央美術館、ポーランド)
    • 2008年 個展(ギャラリー恵風、京都)以後複数回
    • 2017年 個展(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都)
    • 2017年 『旅する布』〔美学出版〕を刊行
    • 2020年 「アカルイ カテイ A Bright Home」(広島市現代美術館)
    • 2021年 「コレクションとの対話」展(京都市美術館)
    • 2020年 第40回京都府文化賞功労賞

    10月2日(日)11:00-12:00

    「一生使えるダーニング術」
    野口 光

    内容:
    2021年12月に発売した著書「野口光が教える 一生使える繕い術」本は欧米の伝統的な技法ではない、針仕事に慣れていない人でも取り組めるオリジナルのテクニックを紹介しています。ダーニングに取り組んで約10年で、’繕い’を取り巻く環境がどのように変化してゆき、このテクニックに至ったかというお話を、デモンストレーションをしながらご紹介してゆきたいと思います。

    プロフィール:野口 光
    テキスタイルデザイナー
    武蔵野美術大学卒業後、イギリスでテキスタイルデザイン(ニット専攻)を学び、後にロンドンでニットテキスタイルデザインのスタジオを構え、ニットブランド hikaru nouguchiを始める。南アフリカ共和国での生活を経て、2018年から東京にベースを写す。近年、ダーニング(手繕い)のエキスパートとしてテクニック、資材を研究し、執筆、指導活動をしている。

    10月2日(日)13:30-14:30

    「モンゴル遊牧民の住まいのフェルト、暮らしのフェルト」
    今岡 良子

    内容:
    モンゴルの遊牧民が作るフェルトは、2種類に分かれますが、1つは、移動式天幕を包む巨大なフェルトです。もう1つは、大地の冷えを遮断する敷物のフェルトで、これには模様を差し込んで強度を高めます。羊の毛のおかげで、森から草原に出て生きるようになった遊牧民の暮らし、受け継いできた技術を紹介します。

    プロフィール:
    1962年生まれ
    大阪大学人文学研究科准教授

    【facebook ひつじの惑星】 https://www.facebook.com/hitsuji.wakusei

    10月2日(日)15:30~16:30

    「ガンディーに学ぶ自分の手で紡ぐ未来」
    片山佳代子

    内容:
    非暴力とは糸紡ぎであるとして、糸紡ぎをインド独立運動の中心に据えたマハトマ・ガンディーの思想を紹介。肉体労働の尊厳を取り戻し、自らの手を動かして必需品を生産することの重要性。お金に頼らず、大地に根ざして、足るを知る暮らしが現代の問題を解決する鍵となることを説明します。ガンディーの教えをヒントに、私達の今と、これからの暮らしを一緒に考えてみませんか。

    プロフィール:
    岡山県生まれ。ガンディー思想を伝えることをライフワークとして、各地で講演会・糸紡ぎのワークショップを開催するとともに、自ら綿花を育て、糸紡ぎ・機織り、服作りなども実践している。
    訳書『ガンジー・自立の思想』(地湧社)『ガンジーの教育論』『ガンディーの遺言』
    著書『非暴力・平和・糸車 ガンジーに学ぶこれからの生き方』

    http://gandhi-spinning.jimdo.com/
    http://mkgandhi.cocolog-nifty.com/blog/

    【Facebookページ】https://www.facebook.com/kayokatayama